ATELIER CLOS

アトリエクロス のサテライト、詳しくはHPへ。http://atelier-clos.jimdo.com/

小さなメセナ、大きな一歩

長年広告業界に携わってきて、メセナ活動について思うところがある。
CSR(企業の社会的責任)が叫ばれ、エコロジー活動や盲導犬育成等を大企業は行っているが、メセナ活動(社会貢献の一環として行う芸術文化支援)についてはまだまだ拡張が必要だと思うのだ。


オーケストラへの支援、美術館や博物館の運営、○○賞等のアワード実施。
もちろん素晴らしいと思うし、大きなメセナだと思う。ただ、それはとても狭き門と固定化リスクも併せ持つ。
もっと社会を文化で豊かにするような、若手の可能性や地域の喜びを膨らませるような「小ささに価値がある」と思っている。

 

たとえば、都心の駅前ですら、ビルボードのブランクが目立つ。
もちろんメディアとして立地やスペースは資本かもしれないが、何か月も穴開きでいるくらいなら「ビルボード空き期間は若手アーティストの街頭展示スペース」としてしまえばいいと思う。
仕事でOOHも範疇だったので、スペース代を除けば出力費と張り替え代がそこまでバカ高くないことを知っている。
作り手側に対しても、知り合いしか来ないクローズドなレンタルギャラリーより、街中の人に訴求できるオープンアートがいいんじゃない?と思っている。
ショールームの一画をギャラリー化するとか、その分野にまつわる表現者をオンラインで取り上げ、マガジン化するとか。

 

なぜ日本で、メセナが大手かゼロか(Big or Nothing)状態なのかは、ひとえに決裁権のある方(偉いヒト)が「センスに自信がない」事があると思う。
どれだけ学歴やビジネススキルを磨いていても、義務教育の美術や音楽の授業しか文化リテラシーに触れてこなかったりすることもあるだろう。
だからせっかくメセナ活動に着手するのに、“受賞歴や有名さ”で法外な高値の“メディア受けアーティスト”をセレクトしてしまったりする。
(不安だとブランドで武装したくなる感じ。あるいはコネ優先で不適合なものを持ち上げてしまう)

 

少し話は変わるが、新規事業開発で3桁位はアイデア・企画・ローンチなどに携わったこともあり、実は企業は新しいことをしたがっていることや、収益性だけでなく社会貢献としてクリエイティブと組みたがっているケースを見てきた。
逆にバナキュラーに「クラウドファンディングでそういうスペース作ろうよ!」というのも共感はするが、内輪ノリで閉鎖的なムラになったり、最初は良いが運営に困って謎の販売とか始めると当初の理想からは離れていくのも見てきた。

ある程度「現実」という線引きした「企業の力」があると、返って理念は濁らなかったりする。
作り手側も、企業側も、もっとオープンにニュートラルに「文化を現実化」することは双方のテーマかもしれない。


とりあえず、ビルオーナーの方、ビルボードは展示スペースにしましょう。公募を主催して、良い作品を選ぶのも楽しきものです。小さなメセナ活動を始めてみると、文化は大きく歩みを進めます。